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製造業派遣40万人の失業が予測された夜 2 [小説 今だ現在の歴史]

「製造業派遣が40万人失業するかもしれないんだってよ」
「ふ~ん」
 栄子は咲夫に聞こえるくらいの大きな声で「ふ~ん」と言う。
 この小さなせっけんをどうするべきだろう。すでに新しいせっけんは出してある。小さな残りだけでは泡立たないだろうし、どうも目障りだ。
 かと言って捨てるのはどうだろう。それでもいいじゃないかと思うが、どうも引っかかるものがある。

「おーい、ふ~ん、じゃないよ。40万人失業だぞ」

 咲夫の声。だからどうだというのだ。早くバスルームから出てこいというのか。そして話の相手をしろと。
 咲夫はN社の自動車工場に勤めている。「40万人失業可能性」のニュースは栄子も読んだ。
 だからどうだというのだ。
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