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レダになった順子と市川海老蔵と芸能リポーター [小さな小説集 正気と狂気の間]

順子は「レダ」になった。
なったというより、生まれつきレダなのかもしれない、と順子は思う。

(わたしは「レダ」だもの、世界は美しい)
「そう、世界は美しいのだ」
順子はテレビを付ける。
市川海老蔵が映っている。
(うん、海老蔵は美しくなくもない)
順子はうなずく。
ところがである。
女リポーターの声が聞こえてきたのである。
「お互いを何と呼び合っているのでんですか?」
「うが・・うががが」
いけない・・順子の発作がまた始まる。
「ウが、うがががが・・。醜い、醜すぎるのよ。ああ醜い。
なんでテメエに聴かれなきゃなんねえんだよお。
テメエは旦那とどう呼び合ってんだ・・なんて絶対聴きたくねえんだよお。
だいたいテメエみてえな女とつきあう男、いるのかよお」
(ハッ)
順子は我に帰る。
(いけない・・わたしはレダなのに)

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