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燃えるように暑い夏の日の蝉 2 [生と死のためのアート]

「この蝉はもうダメだろう」
そう思った。
時間もなかったし、その時ぼくには(この蝉に何かしてやろう)という気持ちは起こらなかった。
子どもの頃は平気だった「無視を触る」という行為が、大人になってからは平気でなくなっているということもある。
そして2時間くらい経っただろうか。
ぼくはまた外出しようとコンクリートのガレージに出た。
羽化しかけの蝉はまだ同じ場所に転がっていた、脱ぎ捨てるはずの殻とくっついたままで。
(もう死んでいるのだろうか?)
ぼくは少しだけ軽く靴で弾いてみた。
すると・・だ。
蝉は飛び立ったのだ。
とても元気よく。
燃えるように暑い夏の空へ。


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コメント 8

nano

生きる欲望は大切ですね
by nano (2010-07-29 01:34) 

末尾ルコ(アルベール)

nano様

飛び立つ姿が嬉しかったです!

                   RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2010-07-29 05:54) 

paddies

気にはなっても、子供の頃のように触れない・・・
わかります!!
by paddies (2010-07-29 05:59) 

末尾ルコ(アルベール)

paddies様

そうなんです・・。
触れなくなっている自分がいるんですよね。

                        RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2010-07-29 06:22) 

ねこじたん

わっ!
飛べたっ!
飛ぶ力チャージ中だったのですね!
ちょっと蹴った事がよかったのかもですね
by ねこじたん (2010-07-29 08:45) 

末尾ルコ(アルベール)

ねこじたん様

わたしがツボを蹴ったのでしょうか(笑)

                    RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2010-07-29 09:10) 

スマイル

こんばんは
こういう展開ですね~よかった(笑)
でも確かに飛び立つ瞬間までは、何かトラブルが会ったに
違い在りません。
弾き方が絶妙に何かのトラブルを解消させたのだと思います。
思いも寄らない結末。感動ですね♪
by スマイル (2010-07-29 22:49) 

末尾ルコ(アルベール)

スマイル様

そうなんです。
ちょっとした「感動」をお伝えしたく、この文章を書きました。

                            RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2010-07-30 00:29) 

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