●吉永小百合の「最も美しい年代」は？あるいは「子犬、リス的」十代。

●吉永小百合の「最も美しい年代」は？あるいは「子犬、リス的」十代。

末尾ルコ「映画の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

吉永小百合は１９４５年生まれで、『伊豆の踊子』は１９６３年公開の映画だから、１０代後半ということになる。
伝説的作品『キューポラのある街』はその１年前の１９６２年だ。
要するに、十代で映画スターとして頂点まで上り詰めたまま、平成３０年の現在まで５０年以上、その座を脅かす者さえ現れていないという凄い女優なのである。
ところでこれはわたしの感じなのだが、『キューポラのある街』を観ても、『伊豆の踊子』を観ても、要するに１０代の吉永小百合からは、「動物的」な印象受けるのだ。
１０代であるから、じっくりと人間的深みを出すのは難しいとしても、他の十代の女優にはそうそう見られない「動物的」印象である。
つまり、常にハイテンションで喋り、動き、表情はある程度固定されたまま、９０分程度の映画の中で、有無を言わさず一気に見せてしまう。
もちろん「動物」と言っても、河馬や水牛などではなく、「子犬」とか、「栗鼠」とか、そんな感じだ。
決して、「猫」タイプではない。
おそらくわたしが当時もし同年代の男としてリアルタイムで吉永小百合を観ていても、特にファンにはならなかっただろう。
正直、観ていて少々疲れるのである。
『伊豆の踊子』にはゲスト出演的に浜田光夫も出演していたが、これまた短い時間になかなかのハイテンションである。
そして別に二枚目でもなければ、カッコよくもない。
『伊豆の踊子』で吉永小百合の相手役を務めているのは若き日の高橋英樹だが、その美男子ぶりと比べると浜田光夫、「その辺のあんちゃん」である。
そこが若き日のハイテンション吉永小百合の相手役として相応しかったのだろうが、吉永が中年期から高齢期の現在にかけても「唯一無二のトップ女優」として君臨し続けているのに比べ、フェイドアウトしていったのも致し方ないところだったのだろう。
わたしが子どもの頃に石橋正次目当てで観ていた『アイアンキング』の同じく主演格で出ていた浜田光夫だが、その時点で「かつて吉永小百合の相手役青春スター」だった面影はなかった。

では吉永小百合が最も美しかったのはいつ頃かと考えれば、やはり３０代から４０代ではないだろうか。
いや、もちろん「吉永小百合は現在を含め、どの時代も美しい」という前提での話だけれど、例えば、１９７８年の『皇帝のいない八月』を観ても、（こりゃあ、最高だわ）という美しさがある。

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コメント 1

うーん、吉永小百合ですか。メディアでもてはやすので、浅丘ルリ子や吉永小百合は特別なのだろう、という思いをもっていましたが、ほんとにそうか、と自分の心に確認すると、おう、そうだとも、と絶対の自信を持っては言えないですね。きれいな人だなとは思いましたが、私のライフワークの妄想に出演したことがないからです。
まずリアルで日活時代は見ていないのです。父親に連れられて見たのは、東宝や松竹で、あまり日活は好きではなかったようです（笑）
吉永小百合というと、東宝をやめた児玉清と夫婦役だった『花は花よめ』とか、森光子と共演した『おふくろの味』など、私にとっては、テレビドラマのヒロインというイメージがどうしても強いです。でも「アップダウンクイズ」のアシスタントをしていた佐々木美絵（http://img-cdn.jg.jugem.jp/5d5/156118/20060717_151626.JPG）とか、中野良子などと間違えてしまうぐらいなので、やはりそれほどの思い入れはなかったかもしれません。
「青春の門」で、上半身裸で仲代達矢と抱き合っていたり、田中健を裸で抱きしめていたりしていたときは、ちょっとびっくりしました。「男はつらいよ」に2度出ていて、私は最初のほうが良かったと思います。私にとっての吉永小百合のピークはそのへんですかね。
あとは映画にいろいろ出ているようですが、東映の岡田裕介社長とのことが写真雑誌に激写されてがっかりしました。いや、醜聞それ自体ではなく、映画会社の社長と関係するというところに枕営業を感じたからです。
日活映画の中平康監督の娘・中平まみという元都知事の愛人に、過去の遍歴をバラされていましたが、それは面白く読みました。男性については、片思いだったり実際に交際があったりした俳優の名前が何人か実名で取り沙汰されています。赤木圭一郎、山本学・圭、加藤剛、中尾彬、渡哲也……。総じていえるのは、知的だけれど朴訥とした自然児が吉永小百合の好みのようです。知的でも、おしゃべりでけれんのかかった石坂浩二はフラれているそうですから(笑)知的な自然児。これなどもまさに日活なんですね。

高橋英樹に話を聞いたことがありますが、1度だけ役者をやめようと思ったことがあるそうです。それは、日活時代主役になる予定だったある作品が別の俳優にキャスティングされ、自分が脇に回されたときだと言っていましたが、まあきっと「別の俳優」は浜田光夫だと思います。まさに「あんちゃん」然としたところがちょっと蓮っ葉な日活映画には合っていたのではないでしょうか。高橋英樹は、顔が大きい本格派二枚目なので、やっぱり時代劇に行くべき人だったんでしょうね。
浜田光夫は、山内賢との3人の中では自分がリーダー格だという自負があったようですが、テレビに行ってからは目の怪我もあり、高橋英樹とは決定的に差がついてしまいました。浜田は不遇に対して酒浸りの日々を過ごしていたそうですが、高橋英樹は健康管理もきちんとしていて、そのへんも高橋英樹にはかなわないのだろうと思います。
by いっぷく (2018-05-02 04:51)