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●末尾ルコ「平成史」~平成前夜1988年公開の『怪盗ルビィ』と、小泉今日子と真田広之の演技力。 [「言葉」による革命]

●末尾ルコ「平成史」~平成前夜1988年公開の『怪盗ルビィ』と、小泉今日子と真田広之の演技力。

末尾ルコ「平成史と映画の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

BSプレミアムシネマで『怪盗ルビィ』を放送してたから鑑賞してみた。
『怪盗ルビィ』の監督は和田誠。
映画通のイラストレーター、エッセイストが映画監督にも挑戦し成功したという稀有な人であり、1984年の『麻雀放浪記』に続き、1988年に公開されたのが『怪盗ルビィ』。
ハリウッド映画の熱烈なファンの和田誠監督により、クラシックなハリウッドスタイルのロマンティックコメディに対するオマージュであり志向となっている作品だ。
極めて高い評価を得た『麻雀放浪記』に続いて真田広之を起用。
ヒロインは小泉今日子である。
ちなみに小泉今日子が「なんてったってアイドル」をリリースしたのが1985年。
わたしはこの秋元康臭のとても強い「なんてったってアイドル」がまったくダメで、しかし業界人とかブンカ人とかは誉めそやしていましたな。
ま、でもそれは個人的嗜好の問題もあるし、客観的評価でもある(笑)。
小泉今日子の歌ったすべてが気に入らないのではなく、例えば「見逃してくれよ!」とかはけっこう好きなのであるが。
ちなみにアイドルとしての存在を止め、女優として本格的に活動し始めてからは基本的にファンである。

『怪盗ルビィ』が公開された1988年と言えば、そう、平成前夜だった。
和田誠作品で言えば、『麻雀放浪記』はもちろん観ているけれど、『ルビィ』は観ていなかった。
今回鑑賞してみたのは、特に当時の真田広之がどんな風だったか確かめたかったことが大きいがが、もちろん和田誠によるロマンティックコメディが近年のティーン向けラブコメとどう違うかを観てみたかったことも大きい。
しかしさすがに和田誠作品だけあって、それ以外にも観どころは多くあり、随所に吉田日出子、斎藤晴彦、秋野太作、岡田真澄、名古屋章らが散りばめられていて、鑑賞者の目と心を愉しませてくれる仕組みになっている。
もちろん映画の時間の大方は小泉今日子と真田広之によって占められています。
「ルビィ」主導でどんどん怪盗計画を立てるけれど、どんどん失敗し、赤字を計上していくのが可笑しく、「赤字」を恐れるわたしたちの親しみを買うのです。
小泉今日子はこの時点では演技も何もない。
しかし華やかなスター性はある。
和田監督によって巧妙に演出され、特に「怪盗」実行中、真っ赤な口紅をひいた「ルビィ」の顔がライトによって浮かび上がるシーンは見事です。
演技を主導していくのはもちろん真田広之で、この時点で既に演技者として長けているのがよく分かります。
気の弱い「怪盗」パートナーとして終始大きめの黒縁眼鏡をかけているのだけれど、正直なところ、真田広之の端正な顔をもっとしっかり観たかったという気持ちは否めませんでした。

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lequiche

《怪盗ルビィ》は映画館で観ました。
1986年に大林宣彦の《四月の魚》という作品があり、
はっきりいって失敗作だと思うんですが、
でもいいよね〜という部分があり、
この2本はどちらもおしゃれな映画という印象があります。
当時はそういう傾向のが流行っていたのかどうか、
はっきりとはわかりませんが。
by lequiche (2018-05-27 02:25) 

いっぷく

『怪盗ルビィ』懐かしいですね。当時見ました。まさに80年代の映画ですね。おしゃれで明るくて、昭和ののどかさがある点でいいと思いました。
和田誠は、当時『話の特集』という左派的知識人タレントの雑誌のイラストを描いていました。革新自由連合作っていた人たちですね。矢崎泰久、中山千夏、永六輔、加東康一、ばばこういち、岩城宏之……最初は青島幸男も入っていましたが、反自民を装った無思想の日和見だったのですぐに離脱しました。←クレージーと仕事をしていた青島幸男は高い評価できますが、政治家としては残念ながら評価は低くならざるを得ません。252人いた参議院議員の小会派で目立つだけならよかったかもしれませんが、大都市東京の首長の器ではなかったですね。
夫人の平野レミがまた個性的な人ですよね。でも私はああいうタイプに惹かれるのですけど、とても私のような小さい人間では扱いきれないのだろうとおもいます。
それはともかくとして、小泉今日子に限っていうと作品の印象は『生徒諸君!』の方がよかったかなあ。スカート両手で持ち上げているのが当時はインパクトありました。榊原郁恵の『ナッキーはつむじ風』ともつい比べてしまいますが、まあ当時の私はまだ学園モノを卒業できなかったんでしょうね。
髪を刈り上げたり、自分だけでなく女友達を名字敬称略で呼んだり、目新しいことをいろいろやってるので、キャラが立っているように見えましたね。小泉今日子は。私の印象では、田村正和と出た『パパとなっちゃん』もよかったですね、オープニングで、主題歌の「あなたに会えてよかった」が流れながら、リアルな小泉今日子のアルバム写真などはさみながらなっちゃんがだんだんおとなになってくるのですが、ワカメちゃんカットの小泉今日子が出てきたときは、おー、いい女になったなと見入ってしまいましたから。当時ワカメちゃんカットが流行したんです。小泉今日子が流行させたのか、小泉今日子が流行に乗ったのかは定かではないんですけどね。

>「殊勝な北朝鮮の談話」を引き出しただけでもちょっとしたものだという気もします。

瀬戸際外交は通用しなかったんですかね。トランプ大統領は政治家としてのセオリーを無視して、不動産屋的な駆け引きでがんばったんでしょうね。でもさすがに今は「ロケットマン」とは呼びませんね
by いっぷく (2018-05-27 05:13) 

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