*過酷な人生も前向きに生きる洞口依子。 [末尾ルコ(アルベール)より]
洞口依子も来年60歳を迎える。「ドレミファ娘の血は騒ぐ」の強烈なインパクトのためだろう、洞口依子にはずっと特別な女優のイメージがあった。その後も順調にキャリアを重ねていた洞口依子だが、38歳の時に子宮頸がんの告知を受け、子宮と卵巣を全摘出する手術を行う。現在がん告知後約20年が経っているが、がん手術から10年以上過ぎた時期、足がむくみ始め、リンパ浮腫と診断されたという。リンパ浮腫の治療は現在も続いており、さらに85歳になる母親が認知症で、洞口依子を娘ではなく妹だと思っているという。過酷な人生を送っているが、その中から彼女なりの人生のたのしみ方を見つけているようだ。SNSでも発信している洞口依子。今後さらに注目していきたい。
*日本封切りで観た「家族の肖像」と「イノセント」。 [末尾ルコ(アルベール)より]
かつて昭和の日本でちょっとしたルキノ・ヴィスコンティブームがあった。1970年代のことだった。だからぼくは「日本初公開封切り」という形で映画館で「家族の肖像」と「イノセント」を観ることができた。土電ホールだった。10代のぼくにヴィスコンティ作品の核心を理解できようはずもないが、あまりに濃厚な映画世界を封切りという形で体験できたのはとてつもなく大きい。日本公開同時は「家族の肖像」の評価が圧倒的で、「イノセント」はやや落ちると見なす向きが大勢だったが、その後蓮実重彦が「イノセント」をヴィスコンティ最高作と言ったこともあってか、評価はかわってきた。