*成瀬巳喜男｢めし｣の原節子。

｢めし｣は成瀬巳喜男作品。主演は原節子。この映画は｢怖い｣原節子を観ることができる。夫役は上原謙。往年の大スターであるのはわかるが、ぼくが上原謙を初めて認識したのはアデランスのCMだった。スターだった人、名優だった人など、出演するテレビなどを選んでほしい。
｢めし｣で原節子演じる妻は、毎日毎日夫が口にするのは｢めし｣や｢風呂｣などばかりな日常に倦み切っている。そんな日々の中に夫の姪が転がり込む。そしてどうなっていくか。

*｢エディット･ピアフ｣路上のラ･マルセイエーズ。

マリオン･コティヤールの｢エディット･ピアフ｣でピアフの少女時代、それはもちろんコティヤールじゃなくて子役なのだけど、路上でまったくウケない切羽詰まった大道芸人の父親に｢なんかやれ｣と無茶ぶりされ、仕方なくフランス国歌ラ･マルセイエーズをうたい始める。足を止めて聴き始める。心を動かされる顔、顔、顔。少女がうたい終えると大きな拍手。バスケットを持った中年婦人が駆け寄り、少女にお金を渡す。歌唱が人々の心を揺さぶった美しい場面。そしてぼくは、少女のラ･マルセイエーズに心揺さぶられた人たちの人生を想像する。