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*ああ幼稚、「大名倒産」、そして子役問題。 [末尾ルコ(アルベール)より]

「大名倒産」という映画、杉咲花がヒロインだし、浅野忠信、松山ケンイチ、石橋蓮司らが出ているので観てみたら、これがもう、金がかかった豪華キャストの「月曜ドラマランド」というレベル。言葉っかいや所作など、時代劇の要素ほぼゼロ。「今」の日本人に合わせようとしているのか、かなり低年齢の観客からを見越していたのか、いずれにしても幼稚としか言いのないクオリティでとても残念。
正直なところ、冒頭子役が「テレビドラマ演技」をした時点で嫌な予感はしたのだが、それがバッチリ当たってしまった。
ぼくは子役のクサいワザトラ演技を見ただけで鑑賞意欲を無くしてしまうのだが、比べるのも虚しいけれど、「子役のあるべき演技」を知りたい方は、フランソワ・トリュフォーの「大人は判ってくれない」やカサヴェテスの「こわれゆく女」を観てほしい。

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*「こわれゆく女」、クライマックスの圧倒的美。 [末尾ルコ(アルベール)より]

「こわれゆく女」のピーター・フォーク。その怒り方、ぶち切れ方がまた凄い。妻の狂気がこの映画最大のテーマだが、夫ピーター・フォークも「狂気」と見まがうばかりの凄みが爆発している。
ジーナ・ローランズとピーター・フォークの演技に圧倒されっ放しでクライマックスを迎えるが、そこでこそこの作品が誇る、あまりに映画的なとてつもないシーンが待ち受けている。 
深まる一方の妻の精神状態は遂に「入院」を家族に決断させる。そして約半年後、退院の日に夫は大勢の人を集めてパーティーを開催しようとする。母親の猛反対にあい客たちには帰ってもらい、家族と医者などで小規模な退院祝いをするのだが、妻が姿を見せてから、(治っているのか、そうではないのか、いつ爆発するのか)という疑惑が類い稀な緊迫感を醸成し、しかも小さなテーブルを囲んだ人たちの姿があたかも聖書をテーマにした優れた絵画のような、しかし映画ならではの驚くべき美を湛えている。
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