*うたちゃん、89回目の誕生日。 [末尾ルコ(アルベール)より]
9月初旬の、ぼくの整形外科受診のは、実はうたちゃん(母)の誕生日でもありました。89歳。しかしちいかわより可愛いことでもおわかりのように、その年齢には見えません。とは言え何度もお話しているように、冠動脈バイパス術を受ける直前には、「すぐ手術しなきゃ死ぬ」とまで言われたこと、常に念頭に置いておかねばならないし、絶対に油断してはならないのも当然のことです。
まあそれにしても、うたちゃんの89回目の誕生日、たのしく過ごせた最上の幸福。
まあそれにしても、うたちゃんの89回目の誕生日、たのしく過ごせた最上の幸福。
*成瀬巳喜男「めし」、倫理観なしの「里子」島崎雪子、怖い原節子。 [末尾ルコ(アルベール)より]
成瀬巳喜男「めし」で原節子と上原謙演じる夫婦の家に転がり込む「夫の姪」里子役が島崎雪子なのだが、このキャラクターが強烈で、真っ当な倫理観はほぼゼロ。「反省」という言葉は彼女の辞書にはないかのごとき言動なのだ。でもいるよね、そういう人って。あるいは他人のちょっとしたことを浅知恵出鱈目解釈して口汚く罵るけど自分が間違ってるとは絶対気づかない手合い。そうした人間研究も今後深めていくとして、「めし」の原節子は夫と供に送る日常生活への不満、「里子」に対する憎悪に近い感情、東京で働くことやそこにいる男に対する憧れなどが入り交じり、特にクライマックス、「怖い」顔を見せつける。ある作品に対しての深読みのし過ぎは時に陳腐だが、「めし」はいくらでも深読みしたくなって当然の一本だ。