ヒョードルが「プロ」として敗北者に見えた頃。
つまりわたしは、もはやエメリヤーエンコ・ヒョードルが「プロ」として試合をすることはないだろうと悲観をしていた。

客席には空気の方が多く、
歓声よりも選手の悲鳴の方がはるかによく聞こえたリングス末期の試合。

ヒョードルは英国のリー・ハスデルや豪州のクリストファー・へイズマンと闘っていた。
今の基準では強いとは言えない二人の格闘家だが、それでも格闘家だ。

しかし二人とも、ヒョードルが腕をひねると泣きそうな顔で悲鳴を上げた。
プロとしてリングへ上がる選手が「悲鳴」を上げるのは、
そうよく見られる景色ではない。