とは言え、わたしは決してニック・ボックウィンクルを嫌っていたわけではない。
試合がおもしろかったとは言えないが、リングに立った姿に高級感があったのだ。
高級感という点では後年同系列のファイトスタイルで一世を風靡したリック・フレアーよりも上だった。
ニック・ボックウィンクルとリック・フレアー・・どちらにより高級感があるかとプロレスファンに聞けば、おそらく様々な意見が出ると思う。
わたしがニック・ボックウィンクルの方に軍配を上げるのは、よりナチュラルだからだ。
リック・フレアーは衣装やヘアスタイルも含め、かなり意識的に「キャラクター設定」をしているが、ニック・ボックウィンクルはニック・ボックウィンクルそのものに見えるのだ。
いやもちろんニック・ボックウィンクルも「キャラクター設定」をしているだろう。
しかし時代が下るに従って、プロレスラーの「キャラクター設定」がより商業主義的、さらに言えば、「マーケティング的」になってきたと思うのだ。
わたしが「よりナチュラル」を好むことは言うまでもない。