アンデウソン・シウバは雰囲気が飄々とし過ぎていて「パウンド・フォー・パウンド」ともてはやされてもわたしにとってはまるで思い入れできるファイターではなかった。しかしいつ頃からかは定かではないが、強い、おもしろい、試合を毎回見せつけるアンデウソンを最も楽しみMMAファイターだと認識せざるを得なくなった。
 強い!おもしろい!しかも剛力でねじ伏せるのではなく、しなやかな身体から繰り出す魔術のような攻撃で相手を沈めて行く。ほとんど剣豪小説の主人公のような戦いを見せてくれるのだ。リオ・デ・ジャネイロに於けるUFC153。ステファン・ボナーのパンチを至近距離のノーガードで待つアンデウソン。ボナーのパンチは当たっているようでまったく効果が無い。「見切っている」と解説の高坂剛は言った。やはり剣豪だ。