架空情景

傍観者でもフジテレビのアナウンサーだ、金に困ることはない。
けれど家では妻にいつも「あんたって、一生脇役10番目くらいのタイプね」などと揶揄される。
「脇役10番目」・・脇役2番目や3番目なら助演男優賞の候補になることがあるかもしれない。
けれど脇役10番目は永遠に助演男優賞にもなれない。
部下として新人時代から可愛がってきた笠井信輔が入社5年目にこう言った。
「おれ、ずっと須田さんについていても・・・いや、すんません。でも、もう無理っス。
これからは小倉さんについていくっス・・」
その夜哲夫は一人レインボーブリッジを眺めながら涙したことを覚えている。