「そうね、アルベール!まずはピンチを脱出よ!」
バルコニーの向こうに小さな湖がある。
オーロラの浮かぶ空の下、一艘の小舟が浮かんでいる。
その側には2把の白鳥が、時に近づき、時に少し離れ、オーロラの奏でるエッダに合わせて静かなワルツを踊っている。
「ああ、スヴェトラーナ、見てごらん。あの白鳥はまるでぼくたちのようじゃないか」
「ふふふ、アルベールのおバカさん。あなたったら銃声が飛び交ってる最中にそんなこと言うなんて・・」
「ああ、そうさ、そうだよ、スヴェトラーナ。ぼくは君の前ではいつだっておバカさんになれるのさ」
ぼくはスヴェトラーナの瞳の中にいるような気がする。