敵の攻撃は激しさを増して来た。
しかしぼくにはスヴェトラーナの涙の方が重要だ。
ぼくは人差し指を出してスヴェトラーナの涙をそっとすくう。
スヴェトラーナの涙の中にいたぼくが、ぼくの人差し指の上にいる。
「ぼくの指の上に君の涙があるよ。ああそうだ、スヴェトラーナ。こんな風に、ぼくが君の涙をぼくの指の上に置いたように、ぼくは君の哀しみをぼくの心に置きたいんだ」
「まあ!アルベール、あなたって本当に優しい人!こんなときにわたしの心を熱くするつもりなの?」