「気」がどうやったら出るのかはっきり分からないままに実験を始めてしまったわたし。
しかし早くも何匹かの蚊が体の周囲を窺い始めている。
一刻も猶予はならない。
とりあえず「気合い」を入れると「気」も出そうな気がしたので、心の中で「ふんっ」と「気合い」を入れてみた。
(ふんっ!)
蚊が去っていく兆候はない。
(いったいどうすればいいんだ・・)
動揺し始めたわたし。
ふと思い出したのが、よくマンガで迫力ある人物が登場するときに伴う効果音「どおおおおん」だった。
いかにも「気」の出そうな「どおおおおん」という音。
わたしは心で唱えた。

(どおおおおん)

唱えた後、3箇所以上蚊に刺された。

吉岡清十郎には遠く及ばないと認識した瞬間である。

オスッ!