「詩集を持つこと」をお薦めした手前、ときどき素晴らしい詩を紹介するべきだと自覚しているわたし。
今日はいきなりメジャーですが、シャルル・ボードレールの詩を。
「悪魔への連禱」の一部です。


おお、汝、天使のなかで最も博識で最も美しい者、
運命に裏切られ、賛歌を奪われた神、

おお、悪魔よ、ぼくの長い悲惨を憐れんでくれ!

おお、追放された君主、どんなに虐げられ、負かされても
かならずさらに強くなって再起する汝

おお、悪魔よ、ぼくの長い悲惨を憐れんでくれ!

    
   佐藤朔訳  「フランス詩集」浅野晃編 白凰社

デカダンがボードレールの代名詞のようになっているけれど、ある意味健康的なまでの強さを持っていると思います。
わたしはこの詩を読んで、力が湧いてくるのです。