ぼくはノートを開くだろう。そのノートにはまだ何も書かれていないに違いない。ぼくはまず何を書こうかためらうだろうか。きっとためらわないだろう。シャープペンシルを持つぼくの手は書き始めるだろう。いつも心の真ん中にあり、心の正面にある人のことを。半ページほど書くだろうか。ぼくのシャープペンシルは一旦止まるに違いない。ぼくの心にある大切な人の全てを書くことの困難さに途方に暮れるに違いない。ぼくは途方に暮れて窓の外を見るだろう。窓の外に無限に広がる宇宙を見て、ぼくは唖然とするのだ。ただし怪訝に思うのは間違いない。(これは本当の宇宙なのか、それともぼくの心の中なのか)。ためしにぼくは君の名を呼ぶのだ。宇宙に君の名が響くかどうか。本当に宇宙であれば音がするわけもないのだが、信じられないほどの美しい音を響かせながら宇宙の隅々まで震わせる君の名をぼくは確認し。ああこの宇宙はぼくの心なのであって、ぼくはここまでも君を想っているのか。