エデイット・ピアフの生涯を見ていると、「魅入られた」という言葉が戦慄とともに浮かび上がる。
光と影が濃過ぎるのだ。
栄光の光はあまりに輝き、しかしその強烈な光があたかも底なしの影を生み出しているようでもある。

あまりに有名な「恋人マルセル・セルダン」とのエピソード。
生涯の恋、生涯の愛を感じていた男が飛行機事故で死んだ。
確率的に言えば、人間滅多に飛行機事故で死んだりはしない。
しかもピアフはセルダンに「飛行機で来て」と言ってしまったのだという。