秋元優里が発するタービン建屋という音声が耳に残っていた。福島原子力発電所の耳慣れぬ構造を連夜解説されて、その中でもタービン建屋という音はひと際精神に引っ掛かって来る。(タービン建屋か・・)風の吹く午後。陽光の中に冬の雑じる昼下がり。ぼくはその音を引きずりながら市役所の窓口センターへ向かっていた。やや横長で平屋の建物に入る。
ぼくは普通黒いサングラスをしているのだけれど、だからということもあるだろう、一瞬ビビる人がいる。窓口センターのカウンターには女の受付が二人並んでいたけれど、どちらも明らかに少しビビった様子だ、本当は優しくエレガントな男なんだけどな。まあそれはいいや。ぼくは少し聞きたいことが合って市役所の窓口センターを訪ねたんだ、その日は。