何度か書いているけれど、「名前をなくした女神」の中で最も見応えある演技を展開しているのは尾野真千子だ。考えてみれば尾野真千子にはまだ「カラー」が付いていない。つまりまだ強烈な個性がないということで、それは尾野真千子の弱点でもあるけれど、うまくいけば強みにもなるわけだ。例えば映画「クライマーズ・ハイ」の尾野真千子とドラマ「Mother」の尾野真千子、そして「名前をなくした女神」の尾野真千子ではまったく違う女に見える。これは今日びのスター女優としては珍しいことと言えるだろう。共演の木村佳乃が力のある女優だということは周知だけれど、最近は多くの作品でパターン化された演技を要求されている。「華やかで強気だけれど精神的トラブルを抱えている」という性格の女だ。他の女優たちに関しては、杏は素材の素晴らしさ。倉科カナは「今回ははまった」感、りょうもこのドラマでは「いい感じ」だ、と軽く触れておこう。
「名前をなくした女神」第3話視聴率は10.8パーセントだった。