映画「ザ・ファイター」。
エイミー・アダムスの演技。クリスチャン・ベールにその劣等感をつかれるところ。エイミー・アダムズが演ずる女の劣等感とは。優越感と表裏一体の劣等感。大学へ入ったけれど中退、そして今はバーで働いている。そのコンプレックスにより周囲に「強気の仮面」をまき散らす女が、はっきりと心の奥底をつかれた時にどんな表情をするか。外したくない仮面が外れてしまい、それでも取り繕うとしながらも、本当の顔が零れ出て来る瞬間。大きなスクリーンに表情が大写しになる映画という芸術ならではのアプローチによって、エイミー・アダムスは見事に一人の女の、瞬間の感情を切り取って見せる。