勝利者インタヴューを受けるジュニオール・ドス・サントス。シェーン・カーウィンに判定勝ちした後のことだ。隆々たる筋肉のついたドス・サントスの身体、ギリシャ神話の戦士を彷彿させる引き締まった顔には傷一つ見当たらない。
決着は1ラウンドで付いていたはずだった。ドス・サントスはフェンス際でカーウィンの顔面に剛腕を何発も振るう。一発食らっただけでも立っていられないような重いパンチだ。
もともとが強面のカーウィンの顔面があっという間に破壊され、出血は瞬く間にマットを染める。
(もう終わりだろう)
殴っている最中、ドス・サントスもそう思ったろうし、観客も同じだろう。もちろんわたしもそう思っていた。
しかしカーウィンは結局3ラウンドを闘い抜き、判定まで持ち込んだ。
けれど大方のファンの興味は既にカーウィンのファイトにはなかっただろう。