さて、わたしの特に愛するカラヴァッジョ作品について触れていこう。

まず「ホロフェルネスの首を切るユディト」。

首を着られるホロフェルネス。
ユディトの剣は、ホロフェルネスの首に半分以上食い込んでいるように見える。
ホロフェルネスの首からほとんど真っ直ぐに血が飛び出る。
このあからさまに真っ直ぐな、陳腐と言えなくもない「血」の表現が、カラヴァッジョの真骨頂の一端だ。
高尚な思想などまるでなさそうな、しかしその異常な感覚と圧倒的な画力に鑑賞者はグウの音も出ない。