先だって「詩集」の素晴らしさについて書いたので、堀口大學訳のランボーを少し紹介します。
「オフェリア」の一部。
もちろんシェイクスピアの「ハムレット」が題材。
ランボーとしては初期に当たる作品で、かなり分かりやすい部類に入ります。
もちろん美しくも妖しい世界が見事に創造されていることは言うまでもありません。

オフェリア

星かげ浮べ波立たぬかぐろき水に運ばれて
大白百合と見もまごう白きオフェリア流れゆく、
長き被衣(かつぎ)に横たわり、いと静やかに流れゆく。
遠くかなたの森のかた、鹿追いつむる狩の笛。


  「ランボー詩集」堀口大學訳 新潮文庫