「ん?この音は!?」
「あ!あれを見て、アルベール!」
「ああっ!」
湖の対岸にある針葉樹の森の中から少しずつ姿を現してくる。
「戦車だ!」
「まあ、なんてこと!」
はっきり見えてきた!
どうやらスウェーデン製の戦車だ。
「なぜスウェーデンの戦車が・・」
そう言うスヴェトラーナの横顔からぼくは目が離せなくなった。
完璧な輪郭を描くスヴェトラーナの横顔。
そんなことはもちろん前から十分知っている。
けれど今日のスヴェトラーナの美しさはどうしたことだろう。
「あら、アルベール・・。またわたしを見てるんじゃなくって?」