実際わたしは目の前で小エビに泣かれたなど初めてのことである。
「な、泣かないで小エビちゃん・・」
と言ってはみたものの、どうしていいか分からない。
そっと抱き寄せて「泣かないで」とつぶやこうにも、小エビちゃんはあまりに小さく華奢なのだ。
「こんな姿をあなたに見られるなんて・・」
小えびちゃんは嗚咽の合い間に同じセリフを繰り返す。
「泣かないで、小エビちゃん。君は十分きれいさ」
正直麺の間に顔の見えているエビちゃんをきれいだとは思っていなかったけれど、わたしはつい心にもないことを言ってしまった。
「そんな嘘、おっしゃらないで!」
「え、嘘だなんて・・」
小エビちゃんは少しふくれっ面になり、
「今のわたしがきれいだなんて、そんなの誰でも分かる嘘です・」
と語気を荒げた。

つづく