わたしは今、秋を見つめている。
秋の空はすっかり高く、重苦しい夏の暑さを忘れたかのようだ。
あ、トンボさんが・・
そして今振り返り、わたしがあの夏の日に免許センターで見たゾンビたちは夢だったのだろうかとも思う。
でも夢であるはずがない。
違反者講習の教室へ入った瞬間に感じた生命を失った人間たちの恐怖。
わたしは確か扉の所で立ちすくんだのだった。
(このまま入っていいのだろうか・・。それともゾンビハンターに報せた方がいいのか?)
しかし映画で見るゾンビたちのような凶暴性は感じられない。
例えて言うならば「人間の抜け殻」。

つづく