ボリショイ・バレエ団 アンナ・ニクーリナ Anna Nikulinaが踊るジュリエットなのだけれど。
ジュリエットを超えて美しいのだ。
そんなことを悦ぶのは邪道だと分かっている。
「ロミオとジュリエット」のストーリーの中でジュリエットを演じる限りは「ジュリエットの範囲」を超えるべきではない。
しかし超一流のバレリーナが超えてしまう時間はとてつもない快感でもある。
清楚な女優のような雰囲気を持つアンナ・ニクーリナ。
しかしその長く美しいラインを持つ脚は尋常ならざる角度へと到達する。
その時アンナは、清楚に加えて芸術的宇宙と淫蕩さえ湛えた存在となり、わたしは「ジュリエット」の存在を忘れるのだ。