「カルメンという名の女」の中でオランダ人女優マルーシュカ・デートメルスは黒のスーツスカート、黒のヒールを着けていた。
本当に美しくセクシーな女優にわざとらしいピンヒールなど必要はない。
ジャン・リュック・ゴダールの映画ではことさら女優が美しい。
それはゴダールが左であるとか右であるとかと関係なく、生来エロスとタナトスの美学を身に付けているからだろう。
ところでわたしはマルーシュカ・デートメルスを想い出せば、ほぼ自動的に連想する映画のシーンがある。
「カルメンという名の女」とは何の関係もないのだが、大股で街を闊歩する女の姿。
ヴァレリー・カプリスキーという女優。
「私生活のない女」。