●『驚異のはちきん小説!「はちきん」と呼ばれる女』その32。

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(え?おばちゃん?おばちゃん??わたしが?わたしが、おばちゃん???そりゃあわたしはおばちゃんよね!わたしゃあそりゃあ、女の子やないきねえ、今は。けんど、おばちゃん?何で今、わたしはそんな言葉を聞いたのだろう?タコ?蛸?たこお???あるいは他校?はたまた多幸??いややはり、蛸???蛸おおおおおお??何で今、蛸?何で丘メヒー子が蛸と???)

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こう描写はしてみたが、この日、この時間の山の中椅子子の心中の大混乱を正確に記すことはギュスターヴ・フローベルにもできまいし、『「ボヴァリー夫人」論』を著した蓮實重彦にもできはすまい。
ただ後年、「21世紀の叙事詩人」として名を馳せた貝人法螺男(かいじん ほらお)によって詠じられた叙事詩こそ「最も山の中椅子子の心情に近い」と賞賛されたことは記しておかねばなるまい。