弁当屋の小さな女が証券会社勤務の女のようなスーツを着て自分と歩く姿は
サワナミにとって新鮮な感覚を呼び覚ますイメージだった。
その想像が生まれると同時に、
現実味を持ったイメージとしてサワナミの中に定着し、
「あの娘に会いたいな」
と昼食どきでもないのにつぶやかせた。

(食事にでも誘ってみようか)
誘うとOKする公算はとても大きいと踏んでいた。
それは誘う気のない頃から確信となっていた。