「パリ・オペラ座のすべて」の中に出てくる「メディアの夢」には、練習シーンとステージシーンの両方がある、
練習シーンでもっぱらメディアを踊るのはエミリー・コゼット、ステージシーンではデルフィーヌ・ムッサン。
いや、これはこれでとても興味深い映像ではある。
美しき指導者となったローラン・イレールによりメディアの所作の一つ一つの意味が説明されるところ。
説明を受けてもなかなか理解できないと正直に主張するエミリー・コゼット。
ステージでメディアを踊るデルフィーヌ・ムッサンは鬼気せまり、子どもを血まみれにするシーンはそれこそ「メディア」に憑依されているようだ。
見応えは十分。
しかし「スター」とは言い難い2人のエトワールによる「メディア」には救いがなく、終始陰鬱な気分になる。
「救いのない者」「陰鬱なもの」が嫌いでないわたしがそんな気分になるのだから、かなり「陰鬱」だ。