性に関して歴史的に見ると、元来日本人は比較的奔放だったという説が有力で、それが近代の倫理や教育などの影響で「固く」なり、現在再び奔放になりつつあるというのが大まかな流れではないだろうか。
これは大まかな通説であって、ひょっとしたら違うかもしれないとかいう話はさて置こう。
ここで言いたいのは、性に関して抑圧があり過ぎるのは論外だけれど、「奔放過ぎる」のも論外で、かえって性の愉しみを奪ってしまうということ。
最近はメディアの情報に乗せられて若者を中心に安易に「肉体的セックス」を求める傾向があるが、倫理的に問題があるだけでなく、セックスのとらえ方自体がつまらなく思える。
「ストイック」という言葉を使ってもいいが、単純に言えば、「セックスをしない時間」を大切にすることが、より豊かな悦びに結びつくことがあるのだと思う。
微妙な問題をはらんだテーマでもあり、項を改めてさらに考えていくことになるだろう。(美笑)

「人のセックスを笑うな」で主人公「オレ」は次のような考えを披露する。


セックスというのは想像上のものだ。触っているから気持ち良いのではなく、触っていると考えるから気持ち良いのだ。

       「人のセックスを笑うな」山崎ナオコ―ラ