カラヴァッジョの生涯は何度か映画化もされているが、それも「当然」というような人生を歩んでいる。
特に「暴力」にまつわるエピソードは数知れず、その中でも「最悪」のものが1606年に決闘の相手を殺してしまったという事実である。
つまりカラヴァッジョは「殺人」を犯した人間なのだ。
もちろん現代とは法や倫理観の違う時代のこと、単純に「殺人」というイメージを比較できるわけもない。
また作者本人と作品ははっきり区別されるべきだが、カラヴァッジョの過激な生活ぶりが彼の絵に影響が無かったとはとても思えない。

1606年の「殺人」によりローマを離れたカラヴァッジョだが、他に地でも「暴力」「投獄」「脱獄」など、「あんたはジャック・メスリーヌか?」という活躍ぶり(?)を記録している。
しかし驚くべきは、そんな期間にも彼の圧倒的な創作力はまったく衰えなかったということだ。