「ジゼル」は「愛の物語」なのだろうか。
そう、「ジゼル」は「愛の物語」だと言われる。
しかし出会ったばかりの男に「愛」など抱けるものなのか。
「恋」はできるだろう、ふと出会ったばかりの相手にでも。
けれど例えば「愛」は2日や3日で可能なものなのか?
そうは思えないし、「愛」とはそういうものではないはずだ。
素朴な村娘ジゼルは突如現れた男に恋をする。
男は「村人」とはあまりにかけ離れたノーブルな雰囲気を湛えている。
ノーブルなはずだ。
男は貴族なのだから。
男の名はアルブレヒト。
ジゼルからアルブレヒトに近づいたのではない。
アルブレヒトが初めて会ったジゼルに近づいた。
婚約者がありながら。