●7月5日の朝。
朝。朝。朝。
起きると既にフランスは負けていた。ドイツに負けていた。
ああ、準決勝以降、ラ・マルセイエーズは響かない。
テレビはブラジルVSコロンビアが後半へ突入していた。
ブラジルが2点目を取り、コロンビアが1点返すも、勝敗の行方に影響はなかろうとやや高を括っていた矢先、「あの衝撃」が起こる。
起こった瞬間は事態が理解できていない。
しかしネイマールが倒れたままなのだ。
しかも立てない、動けない。
交代のようだけれど、まったく普通の交代には見えない。
そのうちに堅牢な担架が運ばれて来た。
一般的に使用される担架よりもずっと丈夫そうなものだ。
ネイマールは動けない。
周囲の人たちがゆっくりとゆっくりとネイマールを担架に乗せる。
ネイマールが2014年ワールドカップを去る。
チームが準決勝に残ったのに、
太陽の輝くを持つネイマールがそれを待たず、ワールドカップを去る。