●『驚異のはちきん小説!「はちきん」と呼ばれる女』その18。

さあ、この辺りではちきんの話に戻るべきだろう。
はちきんが小学2年の時、丘メヒー子が転校してきた。
「転校生がやって来る日」。
それは日常とは異なる賑わいが自然と醸し出される日でもある。
その日は暑かった。
九月も二週目に入っていたけれど、秋の気配はまったく感じられず、猛烈な夏が再度襲来したかのようだった。
転校生 丘メヒー子が入室する前から既にその容貌に関して囃し立てを始めた田川猿蔵のいつもながらの振る舞いに対して「黙らんかね!」と怒鳴りつつ、転校生を伴って教室へ入場した担任山の中椅子子は、丘メヒー子の姿を確認してさらに騒然とするパパイヤ組の二年生たちにを前にし、
「やかましい!!」
と雄叫びを上げ、重量感に溢れる右足で教壇の板を叩いた!