今朝見ると、あのソードテールは水槽の底で横になっていた。
結局彼女を見舞った死の誘いから逃れることはできなかった。
ぼくはしばらく水槽の底で動かないソードテールを見続けた。

毎日世界でどれだかの魚が生まれ、そして死んでいるだろう。
ぼくはその中の一匹の死を見届けたにすぎない。
けれど遠い国からやって来て、ぼくがその姿を見つめていたソードテールを他の見たことのない魚と同一視することはできない。

ぼくはもう少し、このソードテールについて語ることにしよう。