小さな水槽の中、一匹だけのソードテールはもはや底の方でほとんど動かなくなった。
同じ姿勢のまま、苦痛を身に重く湛え、ただ目は何かを見ていた。
もう死ぬのだろう。
そうとしか思えなかった。
一匹だけで死ぬよりは、せめて他の魚と一緒に・・。
この考えが熱帯魚を飼う姿勢として正しいかどうかはわからない。
おそらく病気の魚は他の魚と一緒にすべきではないのだろう。
けれどそんな道理よりも、(せめて他の魚と一緒に)という感情が勝った。