世紀の大女優イングリッド・バーグマンが戦後の日本男子に与えたインパクトはいかにも強烈だったという。
「こんなに美しい人類が存在するのか・・」
まあそのくらいの衝撃度はあったのだろう。
日本人にとって分かりやすい美しさだったということもある。
そんなイングリッド・バーグマンの代表作と言うと、まず誰しも「カサブランカ」を思い浮かべるだろう。
数々の伝説に彩られた、「アメリカ人の魂」とさえ表現できる作品の一つだ。
「傑作」あるいは「名作」を志向して製作されたのではない、というよりもそうした条件から程遠かったにもかかわらず「史上屈指の傑作」と化した驚くべきカリスマ映画「カサブランカ」の他にも、イングリッド・バーグマンの代表作として、「ガス燈」や「聖メリーの鐘」、「汚名」などが著名だ。(日本で人気の「誰がために鐘が鳴る」や「ジャンヌ・ダルク」などは映画の完成度に難がある)

さて吉高由里子。
「蛇にピアス」。
完成度に難アリとされる蜷川幸雄作品だが、シーンに与えたインパクトは多大だった。
そのインパクトは映画シーン、アートシーンを超えたもので、〈吉高由里子〉と言っても分からない者に、〈「蛇にピアス」の女優〉と言えば、「あ~、あの」と反応が返る状況がかなりの期間続いた。