●「愛の賛歌」と言えばエディット・ピアフ。
しかし日本で「愛の賛歌」と言えば美輪明宏です。
美輪明宏の歌は素晴らしい。
文句なしに素晴らしい。
「心技体揃った歌唱」とは、日本では美輪明宏を置いて他には存在しません。
「愛の賛歌」に関して多少詳しい方の間では有名な話ですが、越路吹雪などが歌った岩谷時子訳の歌詞はピアフが魂の底から絞り出して歌ったものとは掛け離れているんです。
美輪明宏の歌う訳詞は「あなたへの愛があればどのような屈辱を浴びても構わない、どのような非道な行いもできる。たとえ〈あなたが死んでも〉、あなたへの愛があれば幸せである」という「これ以上はない」という程の愛の歌なのです。
人生においても恋愛においても地獄を見尽くして来たエデイット・ピアフだからこそ歌唱可能な歌詞であり、日本では「美輪明宏なら!」という歌詞なんですね。
正しく思考停止の化学甘味料だらけの歌詞(多くのJポップのことを言ってます、もちろん)とは対極のものなんです、はい。

「花子とアン」で仲間由紀恵演ずる白蓮は「人生初めての恋の相手」と駆け落ちし、「あなたのためならどんな非難を浴びても、恥をかいても構わない」という境地に至っています。
ドラマ中、美輪明宏の「愛の賛歌」も使われた。
脚本への影響は大いにあると見ますが。