●末尾ルコ「映画と世界情勢であなたの人生をより強く美しくする」講座~パレスチナ問題と不評の映画「ミラル」。

パレスチナ問題。
あるいはイスラエル・パレスチナ問題は、多くの日本人にとって常に縁遠いニュースであり続けているわけですが、それでもPLO(パレスチナ解放機構)のアラファト議長が活躍していた時期は、その分かりやすい風貌と共にニュースで取り上げられる頻度も高く、(ああ、またアラファト議長が出ている)ということで少しは身近に感じていた人もいたでしょう。
アラファト議長の方法や実績については議論が分かれるところですが、あのような「万人に分かりやすいシンボル」の存在は「世界で起こっている事実」を遠くの人たちにまで届けるためにはとても重要なんです。
現在で言えばパキスタンのマララ・ユサフザイ。
マララさんがノーベル平和賞を獲得したことについて批判する向きも少なくないですが、「パキスタン的な国々」で少女たちがどのような状況に置かれているかを「マララ」というシンボルによって世界の多くの人たちに届けているという意味ではどんな政治家や学者にもできないことをやっていると言えます。

などということをジュリアン・シュナーベル監督映画監督の「ミラル」を観ながら考えていたわけですが、この作品、フランスなどでは実に厳しい批評をされています。
でもなかなか観応えある映画なんですよ。