●末尾ルコ「映画であなたの人生をより強く美しくする」講座~正規・非正規問題で悩む方にも観ていただきたい、マリオン・コティヤール「サンドラの週末」。

「サンドラの週末」という映画があります。

と言いますか、日本も正規・非正規社員の問題など労働条件問題は大きな社会的試練となっていますが、「サンドラの週末」のストーリーはさらにシビアな設定です。

主役はマリオン・コティヤール演じるサンドラ。
サンドラは鬱病で求職していて、間もなく復職の予定だったけれど、突然解雇を告げられる。
と、ここまでならシビアだけれど、さほど驚くような展開ではない。
ところが「サンドラの週末」では「解雇を回避する方法」が提示されていて、何とそれが、

「同僚16人のうち過半数がボーナスを放棄することに賛成すること」

である。
つまりサンドラの同僚は、「自らのボーナスかサンドラの復職か」どちらかを選択する羽目に陥っているわけだ。

夫はいるが、子どもも二人いて、家賃も支払わねばならないサンドラは職を失うわけにはいかない。
同僚に一人ずつ会いに行き、「復職」に投票するよう呼びかけるという行動に出る。

さて、どうなるか?

ぜひ鑑賞していただきたい一本です。

監督はジャン・ピエールとリュックのダルデンヌ兄弟。
ベルギー、あるいは欧州の「現実」を描き続ける現代の名匠。
ダルデンヌ兄弟の描く「現実」が本当に「現実」かという点に議論の余地はあるけれど、作る作品はどれも映画としての魅力にあふれている。
だから「名匠」なのだ。


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