●加藤泰『瞼の母』、あるいは『男はつらいよ』・・・「ベタ」だけどハイクオリティの!

末尾ルコ「映画で知性と感性を鍛えるレッスン」

2016年8月はWOWOWで加藤泰監督の特集があって、いささかおちゃらけの『真田風雲録』などはどうかと思ったが、『瞼の母』は90分弱の間に映画の旨味が凝縮されていて、主演の中村錦之助はもちろん、小暮実千代の華そしてこなれた芸も素晴らしく、ベタな展開が心地よい、正しく様式美を洗練させた見事な手腕だ。

ところでわたくし最近、『男はつらいよ』が以前よりおもしろく感じるのです。
『男はつらいよ』も心地よいベタの極致。
クオリティ高く、しかも特に映画ファンというわけではない高齢の方々まで存分に楽しませる。
その凄さ、ですね。