●末尾ルコ「スウェーデン料理ヤンソンの誘惑と『ゴールデンカムイ』辺見和雄の身欠きニシン」

末尾ルコ「食と漫画で知性と感性を鍛えるレッスン」

アリシア・ヴィキャンデルはスウェーデン人。

スウェーデン料理と言えば、「ショットブラール」。
苔桃ジャムとともにいただくミートボールである。
そしてインパクトがあるのが、「ヤンソンの誘惑」。
「ヤンソンの誘惑」という名の料理である。
玉ねぎとアンチョビを使うグラタン料理。
アンチョビはニシンのもの。
ニシンと言えば、「身欠きニシン」を思い出すわたしだ。
「身欠きニシン」とはニシンの干物であるけれど、わたし自身これを食したことがあるかどうか定かではない。
ではなぜ思い出すのか?
それは漫画『ゴールデンカムイ』の登場人物の一人、刺青人皮の辺見和雄が身欠きニシンや白米を供したからだ。
『ゴールデンカムイ』の登場人物の中でも変態殺人鬼辺見和雄は出色のおもしろさだ。
辺見和雄は弟が猪に食われた現場を子どもの時に目撃し、「自分も徹底的に抗いながら、絶望の泥沼の中で殺されたい」と願望するようになる。
と書くと、(どんなグロテスクな殺人鬼なんだ?)と想像するが、そこは漫画。
辺見和雄がなかなかカワイイのだ。
そして単純な線だけで、その男の表情を絶妙に描き出している画力にも注目!