●末尾ルコ「映画女優オーラ、あるいはアップに耐える顔の研究 『ボーダーライン』のエミリー・ブラントは」。

末尾ルコ「映画で知性と感性を鍛えるレッスン」

最近で最もエキサイティングな映画の一つ『ボーダーライン』の主演がエミリー・ブラントだ。
エミリー・ブラントと言えば、当代正統派美人映画女優の代表格の一人である。

「正統派美人」・・・いささか古風な響きのある表現だ。
国によって、民族によって、時代によって、「美人の基準」はかなり違う場合もあるし、恐らくどんな時代でも世界中多くの人たちに「美人だ」と認識される「顔」もあるに違いない。
もちろん「美人である」ということとと「いい女優」であるということ、さらに言えば、「いい映画女優である・素晴らしい映画女優である」ということは、重なる部分もあるしかなり違う部分もある。

ではエミリー・ブラントは?

顔立ちはほぼ非の打ち所がないバランスの取れた美しさであり、こともあろうかプロポーションも抜群だ。
ところが、「映画女優オーラ」あるいは「カリスマ性」という点においては物足りないところがある。
『ボーダーライン』では真っ先にクレジットされる「主演」でありながら、結局はベニチオ・デル・トロがすべてさらっていった。
世界の俳優たちの中でもその猛烈な存在感が屈指のデル・トロに太刀打ちするのは困難だけれど、勝てないまでも太刀打ちできる映画女優も少なくない。
わたしはエミリー・ブラントのファンだけれど、だからこそ、「さらに凄い役」を観てみたい。

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