●末尾ルコ「本当に『キングコング 髑髏島の巨神』と『地獄の黙示録』に共通点はあるのか?」。

末尾ルコ「映画で知性と感性を鍛えるレッスン」

『キングコング 髑髏島の巨神』は「ベテラン俳優たちの演技」を楽しむ映画でもあり、サミュエル・L・ジャクソンを筆頭に、ジョン・グッドマン、ジョン・C・ライリーと、それぞれが見せ場を十分に与えれれていて、3人の実績ある主にバイプレイヤーとして活躍している俳優が一本の映画でこれだけの共演している作品はなかなか見当たらない。
その分どことなく新鮮味には欠けるトーンにはなってしまったが、それはそれでいいだろう。
新鮮味に関してはブリー・ラーソンが一人で担当しているに等しく、白のタンクトップで髑髏島を縦横無尽に駆け巡る姿はアスリート的セクシーさが横溢している。
もちろん肩から腕を露出したままで活躍するブリー・ラーソンを観ながら、(こんな島だと、でかい蚊とかもっとでかい虫とかいそうだけどなあ)と思わなくもなかったが。
『キングコング 髑髏島の巨神』について、フランシス・フォード・コッポラ監督の【地獄の黙示録』やその原作であるジョセフ・コンラッドの『闇の奥』との共通点を指摘する声は多いけれど、ちょっとまあ結び付けるのは無理がありますなあ。
確かに「ジャングル」とか「ヘリコプター」とか「ナパーム弾」とか「物質面」では『地獄の黙示録』的要素は多々あるけれど、「精神」が違い過ぎて「共通性」をほとんど感じないのである。


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