●大日本プロレス「蛍光灯デスマッチ」の不思議と、かつてプロレスラーは「最強だった」説。

末尾ルコ「プロレスで知性と感性を鍛えるレッスン」

大日本プロレスという団体では、例えば、

「蛍光灯&剣山デスマッチ」
「超高層ラダー蛍光灯&有刺鉄線四面地獄デスマッチ」

などという企画をやっていて、「蛍光灯」を使ったデスマッチでは当然ながら試合中に蛍光灯が破裂するシーンが続出するのだという。
そういうのを観て「おもしろい」という感覚はわたしにはないし、そもそも大仁田厚の有刺鉄線とそこから派生した数々のデスマッチにもまったく興味を引かれなかった。
そもそもこうした人たちは、「なぜプロレスラーになろうとしたのか」よく分からない。
というのは、わたしも(あくまで)小中学時代だけれど、ほぼ本気でプロレスラーになりたいとトレーニングしていた時期があり、時代が違うと言えばそれまでだけれど、当然「強さ」を求めていたのであり、「強くなって、そんな自分の戦う姿を観客に観てもらいたい」と、これが「プロレスラーになりたい」動機だった。
現在はMMA(総合格闘技)が定着しているから、確かに「セメントならプロレスラーが最強だ!」とは主張できなくなっている。
こう書くと、「プロレスは今も昔もショーなのだから、もともと強いわけないじゃないか」と言い出すわからんちんが出てくるけれど、違うのである。
少なくともへヴィー級のMMAが出現し、定着するまでは、190cm、100㎏を超す巨体で、「打・投・極」すべて使える人類が集まっているのはプロレスしかなかった。
もちろん興行スタイル上、普段の試合は多くが予定調和の世界だけれど、しかしあの巨体であらゆる技が使用可であるという事実は、「本気でやれば、プロレスラーが最強なのでは」との感覚を持たせるに十分な説得力があり、そして事実、他の多くの格闘技とフリールールでやっていれば、プロレスラーが勝っているケースはとても多かったのだと思う。
例えば、モハメッド・アリVSアントニオ猪木にしても、あの「プロレスラーの技のほとんどを禁止されたルール」であっても、せめて「グラウンド状態2分以内ならOK」であったならば、猪木がサブミッションで勝利していただろう。