●「歌謡チャリティーコンサート」、城みちるの「イルカにのった少年」は、星野源「恋」よりもずっと楽しいと高らかに宣言か?

末尾ルコ「音楽の話題で知性と感性を鍛えるレッスン」

2017年5月2日のNHK「歌謡チャリティーコンサート」は、例えば坂本冬美がちあきなおみの『喝采』を歌ったりして、なかなか充実した内容だった。
ただ、坂本冬美は大好きな歌手の一人だけれど、そして比較しても詮無いことだけれど、『喝采』に関してはちあきなおみの圧倒的な巫女的雰囲気を醸し出せる人は他にいない。
あの何かに憑りつかれた様な歌いぶりは日本の音楽史の中でも際立った存在感だとあらためて認識した。
坂本冬美は細野晴臣・忌野清志郎とHISというユニットを組んで活動していた時期があったし、星野勘太郎じゃなくって、仙一との仲を取り沙汰されたり、活動休止期間について取り沙汰されたりといろいろあったが、現在の歌手、パフォーマーとしての実力は絶品だと思う。
歌のうまさに加え、身体のこなし、ステージングも洗練され、非常に観応えがある。
しかし実は5月2日のNHK「歌謡チャリティーコンサート」でわたしを驚愕させたのは坂本冬美ではなかった。

そう。
城みちる。
あの、城みちるが出演していたのだ!!

と、今ここで文字を書きながらもまだシュールな気分である。
ステージの上にどうも見かけぬ男が立っていると怪訝な気分で、しかし「見かけぬけれど、どことなく見たことあるような」という滅多にない不思議な感覚が生じたのだ。
そして実は、(このヌボーっとした風貌、まさかあの、あの・・・いや、しかし今は2017年だよもやあの)とわたしの心はとつおいつしていた。
が、事実は直ぐに明らかになる。
テロップを見れば書かれているではないか、

「城みちる」!

(じょ、城みちるが一体何をしに??)

というわたしの疑問も直後に解答が与えられる。
城みちるは、

「イルカにのった少年」を

歌い始めたではないか?
しかも妙にくねくねと、柔軟度の高いムーブを加えながら。
(2017年に城みちるが「イルカにのった少年」をテレビで歌うって、普通なのか?)というわたしの疑問などそっちのけで、歌い切る城みちる。

しかしここでわたしは敢えて宣言しよう、

星野勘太郎じゃなくって、星野源の「恋」などより、城みちる「イルカにのった少年」がずっと楽しい!と。(個人的感想です)